さて、いよいよ大盤解説会です。シロート全開になりますよー!
私が見ていたのは対局内容ではなく解説会そのものです、ということを念頭に置いて読んでください。
ところでシロート・クロートって囲碁みたいですね。
第74期本因坊戦第2局◆大盤解説会
日時:5月23日(木) 13:30~終局まで
会場:山梨県立文学館「講堂」
解説:内田修平七段 聞き手:甲田明子四段
参加費:無料
定員:300名(申込不要)
囲碁インストラクターの小野孝蘭さんの紹介で内田七段と甲田四段の登場です。内田七段は身長180cm以上の長身、小野インストラクターも結構背の高い方だとお見受けします。その中で甲田四段は一際キュート♪とても楽そうなベタ靴を履いていらっしゃいます。ふーん、ハイヒールとかは履かないのですね。盤の上のほう、届くのかな?なんて考えていました。(スミマセン!!)
冒頭、甲田四段が来場者の棋力を尋ねました。
「始めたばっかりだよーという方~!」
60代くらいの男性が元気に手を上げます。おおっ、素晴らしいです。
「初段以上の方~!」これはやはり多いですね。
と、ここでどこから来たかという質問に代わりました。そりゃそうか。「碁は打てないよーという方~!」が来ているとは思いもしないでしょうね(笑)。
甲府市内から来た方~!は意外と多くなかったです。手を挙げていないだけかもしれませんが。
県内から来た方が一番多く、県外の方も一割くらいいました。
「一番遠い方はどのあたりなのかな。北海道から来たよーという方はいますか~?」
それはさすがにいないだろーーー、という雰囲気が漂う中、内田七段が「そういえば次の第3局は北海道ですね。」とフォロー。今ちょっと調べました。第3局は函館の「五稜郭・箱館奉行所」。奉行所って!すごいところでやるんですね~。
今回の来場者は約180名とのこと。内田七段が子供のころに通った教室の先生をはじめ、幼いころを知る人々もたくさん来ています。皆、さぞ誇らしい気持ちで壇上を見ていたことでしょう。
盤面は現局面の展望のあと初手に戻り解説が進みます。途中、話が難解になりすぎると小野インストラクターから「ちょっと皆さんついていけなくなっちゃっているのでー」とブレーキがかかります。逆に解説者が考え込んで無口になってしまうとアクセルをふかします。インストラクターは解説中は基本的に何もしゃべりませんが、進行を制御する大事な役割を担っているのですね。
そして。そうなんです。当たり前なのですが壇上の解説者・聞き手は立ちっぱなしなのです。楽なベタ靴、納得です。
初手からの解説が現局面に追いつく前に、私は仕事のため中座しました。三時間半後の午後6時に会場に戻ると、あぁ、やはり時間的に退出される方もちらほらいますね。
今回の対局は、一日目を終えて河野九段の白がいいかと言われていました。私が戻った時点では黒が少しいいのではという話です。シロートですが盤面の埋まり具合からまだ先は長いそうだなと思われ、これからの攻防、おもしろくなりそうです。
ところで私が退出しあれしてこれしてそれしていた三時間半の間、来場者は座りっぱなし、壇上では立ちっぱなしで盤面を見つめていたのですね。改めてすごいなぁ。
盤面に石が広がっていき、当初の疑問がまたひとつ解けました。甲田四段、やっぱり届かないです。2線目に石を置くのに精いっぱい背伸びをして指先で押し上げています。その姿がまたキュートで♪♪ 一番上は内田七段がフォローしています。うーん、こんな観戦記、他所にはないだろうな。
そうか。リアルタイムでの解説は、しゃべり続けなければならないのですね。長考の間、いろいろな参考図について話してもまだ時間が余ってしまったりするので大変そうです。プロ棋士は碁が強いだけではダメなんですね。トークもですが、お習字も練習しなきゃだし。(井山九段、上手になりましたよね~)←小さ~な声でね。
と、ここで黒の謎の一手が放たれます。解説者も、いい手とは思えず疑問ですが井山さんのことですから何かあるのでは、とのこと。一日目にもこんな話があります。(毎日新聞ツイッターより)
『坂井秀至八段が文裕の打ったある手に、「井山さんらしくない手。院生が打てば注意しますが、井山さんには深い読みがあるのでしょうから注意できません」と話していました。』
井山九段、何か新しいことを試しているのでしょうか。
ここで小野インストラクターからの報告が入ります。記録係に聞いてきたとのことですが、いつの間にいなくなっていたのか気づきませんでした。
『対局室はぼやきが出ることもなく、とても静か。時折おなかが鳴っていたくらいです。』
そうか。人間おなかか鳴るのなんて当たり前ですよね。鳴らないようにちょくちょく摘まんでいたらこうなってしまった私の人間の小ささを実感します(笑)。
さらに疑問手が。
インストラクター「解説、固まっちゃいましたね。」
聞き手「検討室でも『あれっ?』ってなってます。」
解説「ここまで言っていることが当たらないのは珍しいです。」
懸命に井山九段の意図をさぐる内田七段。何かあるのでは?何かって何?
と、ここで甲田四段が一言。「投了もあるかもしれませんね。」
あぁっ!という雰囲気が漂います。
私はただただ、えっ!?そうなの??黒がいいという話からそんなに経ってないよ???とハラハラドキドキ。
小野インストラクターからの続報です。
「検討室では武宮先生が清く一礼の体制に入っています。」
そして午後6時27分、投了が告げられました。
オリンピックなどとは違い、皆が一方を応援しているわけではないので会場は静かです。
手に汗握る攻防を見たかったという気持ちはあります。でもこういうこともあるのが人間の打つ碁ですよね。あの井山さんでもこういうことはあるのです。しかもまだ2局め。これで勝負がついたと思っている人は一人もいないはずです。だから私たちも目の前の負けに囚われることはないのです。ね、娘。
本因坊文裕も語っています。「第3局は自分の納得のいく碁が打ちたい。」ファイト!娘!
ちょっと話がそれていますが…。
今回のトーク・解説会を見ながら考えていたことは、いつの日か三島囲碁教室出身のプロ棋士が壇上で話している姿です。トークなんてできるのかしら。素ではしゃべるけど人前に出るとどうなのかな。山下先生はじめ教室お馴染みの面々が観客席から見つめています。そんな日が来るのを楽しみにしています。(おわり)