9月1日(日)三島囲碁教室にて、藤井浩貴君ご本人、ご両親を囲んで、プロ合格祝賀会が開かれました。
生徒さんをはじめ、多くの方々がお祝いにかけつけ、賑やかな、あたたかい祝賀会となりました。
出席された有田真知子さん(三島囲碁教室の生徒さんのお母様)から、ご感想いただきました。
ありがとうございます。
以下にご紹介させていただきます。
「このたび、藤井浩貴さんとご両親から、小学校2年で三島囲碁教室に入られてからプロ入りに至るまでの貴重なお話を伺うことができました。ご本人とご両親、そして山下先生から、それぞれ異なる角度からのお話を聞くことができ、たいへん興味深かったです。
子育て中の立場でもっとも心打たれたのは、ご両親が藤井さんを絶妙な距離感で見守ってこられたことです。 まず、中学進学と同時に東京の道場での修行生活を送られるかどうかを、小学校6年の冬に決断されたときのことです。当初、お母様は、藤井さんは清水町内の中学校に進学するものと思っておられたため、上京のお話には驚かれたそうです。それでもご本人の意思を聞いて「よく考えて自分で決断を下すことが、本人の将来のために必要だ」とお考えになり、1カ月もの間、一切口出しをせずに見守られたとのことでした。 そして道場での生活が始まり、ご両親は月に一度藤井さんに会いに行く以外にはご本人の様子がわからない状況になりました。当然お母様は心配でたまらなかったそうです。ここで、藤井さんの8歳上のお兄さんが、お母様にアドラー心理学や性格分析についての本をお勧めになり、お母様はアドラー心理学の「課題の分離」という章を何度も繰り返し読んでご自身の心を整理したとのことでした。そんなに頼りになるお兄さんがいらっしゃったということ、そして、本を繰り返し読むということだけで状況を克服なさったこと、本当にすごいと思いました。プロ棋士になるご本人はもちろんのこと、やはり、ご家族にも相当の努力や研鑽があったということがよくわかりました。 もう一つ印象に残ったことは、勝負に対する厳しさや思いの強さです。 囲碁を始める前の子供時代について、藤井さんご自身は「とくにスポーツをするでもなく、ゲームで遊んだりする普通の子供でした」とおっしゃっていました。ご両親によると、藤井さんは幼少の頃から、あることに興味を持つと深くのめり込む集中力が強かったそうです。また、お友達とおもちゃの取り合いになりそうなとき、「譲ってあげないと、もう一緒に遊んでもらえないよ」と声をかけてもなかなか譲らない一面もあったそうです。勝負強さに通じる意思の強さを、生まれつき持っておられたのかなと思いました。 道場での生活では、一つの部屋に複数のベッドがあり、プロを目指す同世代の男の子が寝食を共にしたそうです。時には、お互いにクラス分けが決まるような重要な対局を終えて、同じ部屋に帰って寝なければならないこともあったそうです。そのような状況でも藤井さんはつねに自分が勝つということだけに集中しておられたとのことで、その精神力の強さには感服するばかりでした。 お祝い会の午後、息子が藤井さんと対局させていただいたとのことで、いつもとは違う感慨を得て帰ってきた様子でした。「自分が打った手の先を、もう完全に全部読みきられている感じがした」、「広い地は確実に抑えられるし、ちょっとミスするとあっという間に攻め込まれるし、まったく隙が無い」というようなことを言っておりました。たいへん刺激になり、また、かけがえのない思い出になったことと感謝しております。ご多忙の中、子供の相手をしてくださった藤井さん、本当にありがとうございました。
藤井さんとご両親のお話を直接お伺いすることができ、またとない貴重な機会でした。本当にどうもありがとうございました。藤井さんのますますのご活躍を祈念しております。」