第74期本因坊戦第2局の関連イベント「棋士と館長とのトーク」が始まりました。
今回の本因坊戦の舞台・山梨県立文学館館長の三枝昻之氏は短歌の第一人者で日本歌人クラブ会長、2011年紫綬褒章受章、宮中歌会始の選者でもあるという方です。そして対談相手はこのあと大盤解説を担当する内田修平七段。お二人とも甲府市出身です。
【内田修平七段・略歴】
5歳・囲碁を始める。
小4・大淵盛人九段の通い弟子となる。
小6・少年少女囲全国大会優勝。日本棋院院生となる。
中2・大淵盛人九段の内弟子となる。
中3・入段
2008年 二段で新人王戦優勝。
2011年 七段昇段。
今回の対局は文学館開館30周年記念事業として開催されました。
なぜ文学館で囲碁を? 内田七段が皆の疑問を代表して聞いてくださいました。
この答えは前回の本因坊戦にさかのぼります。
2018年の本因坊戦は「明治維新・戊辰150年記念」と銘打って、第1局の萩、第2局の京都、そして第5局の会津と、戊辰戦争/明治維新ゆかりの土地で開催されることから、本因坊戦を主催する毎日新聞社が「150年の歴史と碁を詠む」と銘打ち、山口県と福島県の歌人同士が共に初手を観戦し交流を深めようという歌会を企画しました。右はこの歌会で三枝館長が詠んだ碁の歌です。
※二首目は本因坊戦第五局を詠んだものです
文学は人間の様々な営みをカバーしています。その中で囲碁の乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負は文学や芝居に取り入れられることが多いのです。と、館長。この後も「乾坤一擲」という言葉が何度も館長から語られました。芸術家から見た囲碁のイメージなのでしょう。
前回の歌会に引き続き、今回も「短歌・俳句創作と合同合評会」ということで、歌人・俳人が本因坊戦初手観戦後、対局や芸術の森公園を題材に短歌・俳句を詠み批評し合う会が開催されました。
しょ、初手観戦!!
参加者8名は参加無料で一般公募されたのですが、うーーん、さすがににわか歌人になるのは無理だわなぁー。残念。
今回の歌会での碁の句を紹介します。
※ビッグアップルとは公園内の野外彫刻です。
※対局そのものは文学館に隣接する茶室「素心菴(そしんあん)」で行われました。
対局前の盤を拭き清める姿に心打たれる方が多いようですね。三枝館長も対局前のこの一連の所作の他、石を持つ手や置き方にも触れ、そうした美しい姿を句にしたいのですと話されていました。(つづく)